なぜこんなにまで紫陽花にこだわるのだろう

遠い昔の思い出が、私の心をくすぐる

小さい頃両親に愛された日々にほおずりをする

あの日には帰れないけれど

紫陽花の花は、雨に濡れて輝く遠い昔の朝を呼んでくれる
「おかあさ〜んいってきま〜す」キット可愛かっただろう私の声

すかさず父親から「お父さんには?」との声が聞こえる

バツ悪そうに私は小さな声で「お父さんいってきます」舌をペロリ

両親の笑う声を背にパチンと傘を開く!

雨音がサ〜学校だよと誘ってくれ過ぎし日の6月の朝
か〜ず〜ちゃん い〜こ〜お〜私は友達の名を呼んでいるのに

決まって返事は、おばちゃん!ひろちゃんマッテネ〜という

タマーニかずちゃんの声がすると、アラおばちゃんどうしたのだろうと思う

待ってね〜の声にあわせて、紫陽花の花の方に向きを変える

おはよ!と小声で話しかける
大きい花は雨の中に喜んで咲いているように見えるけれど

 ジーッと見ていると小さい花びらが沢山雨に打たれ必死に頑張っている

そんな風に見えた私は花が可哀想になり、自分の傘を差し掛ける

自分が濡れていることも忘れていた そんな私もいたのです。



もう〜両親はいないけれど雨の中の紫陽花は

私の心に両親を連れて来てくれる大好きな花なのです

one's memoirs by hiro

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photo by KOBA
紫 陽 花